株式会社ゼロワン 代表取締役 高橋 智明の生き方・働き方
私たちゼロワンは、基本的には組み込みシステムの開発で、製品に入るプログラム…そのソフトウェアの制作とそれに関わるハードウェアの開発をやっています。今までは派遣、つまり技術者をお客様の開発現場へ提供すること、そして受託(請負)、お客様のモノ(製品)を作りたいという注文に応じて作る、この二分野で貢献してきましたが、今後は「自分たちの想いを込めたモノ(製品)を創るメーカーへなる」という方向を模索しようとしているところです。
「自分たちでモノを作る」
具体的に言うと、現在販売しているのは「無線モジュール」というもので、これは機械の中にモジュールを入れると無線で通信ができるというものです。ゆくゆくはそれを基にした製品を開発し、販売していきたい。
今まで一緒に仕事をしてきた方々は製品に対する誇りや想いを持っている。我々はそういう方々から仕事を請け負ってソフトウェアを創るわけですが、その“想い”に対してあくまで自分たちは、お手伝い、という立場。で、次第に、依頼されてソフトウェアを製作するだけではなく自分たちも“想い”を持ちたいな、「これは私たちが作ったんだよ」と言える製品を作りたいな、ということです。
「無線モジュール」をきっかけに、その他にももっと幅広く展開していこうと思っています。
「組み込み」で一番面白いのは、出来上がったあと、なんですよ。使った人の喜びを見た時なんですね。
例えば、法人に納入するとその会社の方々が実際に使い始めますよね、その時「やぁ、よかったよ~」と言っていただいた時の満足感。
あるいは、コンシュマー製品(一般消費者向け)。携帯電話とかやっていた時もありますが、携帯電話が実際どれだけ売れているのかとか、電車の中で「この携帯、いいよね」などの会話が耳に入ると喜びが湧きますよね。
「やりがい」って、人が喜んでくれる、これが一番大きいのではないか、と思います。開発自体にはいつもなんらかの苦労はあります。その苦労を乗り越えた先にある喜び、これが醍醐味ですよね。
「ゼロワン」という社名の由来ですが、
デジタルの世界はゼロと1(ワン)、この二つしかありません。たった2個の数字で、無限の組み合わせを展開できる世界なわけです。まず一つはそこからの命名です。
二番目はゼロからのスタート、ということです。私は大手の出身ではなく、強力なコネクションがあったわけではありません。でも「ゼロ」からスタートしているけど組み込みのナンバー「ワン」の会社になろうという決意を強く持っていました。
そして、最終的には自社製品を作ることが目的ですが、私は、「ゼロワンはメーカーになる」とずっと言い続けているんです、実は。その製品でもって、世の中に貢献していきたい。
人は誰でも自分の存在を認めてもらいたいという欲求がありますよね。自分自身が何かを成し遂げた「証」が欲しい。私の場合それは、皆で作り上げていく自社製品の実現、なのです。
もともと、私はゼロワンを起業する以前から組み込みをやっていたんですよ。それが一番自信がある分野なわけです。
リーマンショックの時、我が社もきつい状況がありました。その時、「なんでもやります」では勝負できないだろう、では自分たちの特技はなんだという中で、やはり組み込みだ、と。であれば、それを専門として特化しようということです。
この業界は「なんでもやります」という会社もありますが、私らは「それしかやりません」という勢いでやりたかったんです。そして、その道のプロフェッショナルを目指そう、と。営業戦略としても、またそれぞれの特技の進化にしても、これを意識してやるようにしました。
会社としての方向性がピシッとできたので、内部のまとまりはさらによくなりましたね。
とはいえ、技術者派遣などですと組み込みではない所にも行きます。その現場に派遣された者はさまざまな問題に直面し悩むこともあると思いますが、そういう時は「組み込みしかやれません」ではなく、臨機応変な対応をしなければなりません。私にしてもほかの分野の仕事も経験を積んだうえで組み込みの知識も蓄えてきていますから、そういう周りの知識を持つチャンスを与えられること、それもすごく貴重なことなんです。
我々の仕事は最終的にはシステムを提案し、それを作ること。ですから、製品だけを知っているだけではダメ。例えば、インターネットで、クラウドと繋がった時にどういう可能性を持つのか、これを製品のプレゼンをする際に合わせて言うことができなければなりません。つまり、連携するモノ、クラウドやウェブ系、モバイル…最近ですとスマートフォンと組み合わせるとどうなるか、というようなことですね。
そういう周りの知識の取り込みは、いろいろな展示会に行き業界の最先端の流れを見たり、各個人が書籍などで研鑚を積んだり、仕事上で相談されたことに対してどうやったらできるのだろうと調べたり、日々勉強ですよ。こういうところがエンジニアの楽しみでもあるのです。
なんの仕事でもそうでしょうが、スタートはまったくわからない世界ですよね、なんで動くのか、どのように動くのか。それがだんだん、どこをどのように改善していけばもっとよくなるということが分かってくる、そこが楽しみなわけですよ。
ウチの社員全員にそういう境地にまで行って欲しいと思っています。
また、分かってくるのは1年や2年ではなく、10年くらい掛かります。その意味が最近非常によく分かります。
最初はパソコンのプログラマーがスタートですが、単純にプログラムを書けるだけではシステムエンジニアにはなれません。どれとどれを組み合わせてシステムを組むと、こういうものができます、このプレゼンができるようにならないと、システムエンジニアとは呼ばない。ここに至るには、やはり10年くらい必要ですね。
中学・高校時代、陸上部だったのですが、普通は足が速いから入りますよね、ところが、実は私、足が遅いのです。小学生の頃、嫌で嫌でしょうがなくそれがコンプレックスでした。だから、陸上部に入れば速くなるんではないかと思ったんですね。小学生の時サッカー少年でしたが、そのコンプレックスが強かった。で、中学で陸上部に入部したわけですが、当然、最初はぜんぜん戦力にならず、もくもくと練習をしていました。それで、最終的に中学3年生の時に200mの選手になれたんです。
運動は天性のものにかなわない部分がありますけど、それでも技術を学べばある程度のところまでいける、普通の人に勝てる地点まではいける…やり続けていると、なんらかの成果というものが付いてくる、ということです。
この成功体験があったからこそ、苦手なことでもやり続ければなんとかなる、苦手なことを苦手だからといってスルーしていてもなにも起こらないという、この学びはすごく大きいです。
現在にも通じますが、なにごとも、いきなり、ということはないのですよね。 陸上部に入れば速くなる、のではなく、練習をし続けたら速くなれた、3年かけて技術を会得したから速くなれた…今やっている業界も同じことが言えるわけで、業界に入ったからと言っていきなりパソコンに詳しくなるわけではありません。1年2年3年と続けてやっと普通の人よりちょっと上をいけるようになる。さらに10年くらい続けていって、はじめてプロフェッショナルと言えるところに行き着ける。
私の性格なのかもしれませんが、一度始めたことは止めないんです。例えばなにかを3日間やったとしますよね、4日目にさぼるとそれまでの3日間が無駄になる、それは嫌だなという性格です。そういう気持ちでさらに続けて、2週間たった時、ここでさぼったらすべて無になる、せっかく頑張ってきたのにもったいないと、もっとそういう気持ちが強くなる。
頑張ってきていることが一瞬で崩れ去る。蓄積していることは、すぐなくなりはしないとしても連続していたことを途切れさせるとすべての崩壊につながるような、そういうイメージを持っています。
私自身、今だって葛藤はすごくありますよ、「もう、このへんでいいかな」と思うこともありますし、どんな人でも気持ちが落ちる時はある。でも、人間、弱くなる時があるのは当たり前と思えること、これが大事だと、ある時教えられたことがあります。
気持ちが落ちるのは当たり前、肝心なのはその状態の時に、いかにすぐプラス思考に持っていけるか、気持ちを高める方向に向かえるかだ、と言うのです。
要するに、転んだ時の対処法ですよね。いったん思いきり下までスコーンと落ちてみるという考えもあるだろうし、その対処法は自分で見つけるしかない、とも言われました。
「どんなにスゴイ人だって、かならず、弱気の時がある」、「弱気を認めることだ」…この考え方を示唆されてから、だいぶ「らく」になりましたね。
私にはよい影響や気づきを与えてくれる大切なパートナーが社外にいます。
折に触れてその方と会うなかで、いろいろとご助力をいただいています。リーマンショックで会社が大変になった時には結果的にすごく助けられました。
その時「この本を読んでみたら…」と『掃除力』という本を渡されました。
掃除をすることによって気持ちが変わっていくという内容ですが、素直にそれを実践したんです、他にやることもなかったもんで(笑)。それで経営上の課題がすぐに解決したわけではないのですが、気持ちは確実に変わっていって、あらゆることにもう一度チャレンジする気になりましてね。そのチャレンジが結果として、会社を再び成長軌道に乗せることへ繋がりました。
『掃除力』をきっかけとして会社で皆と話し合った時、挨拶が大事とか、時間を守ろうとか、八項目くらいが挙がり「社員の心得八カ条」としてまとめました。が、やや多すぎるきらいがあり、その後三つに絞りました。
それが、挨拶徹底・時間厳守・環境整備です。
挨拶徹底、毎朝朝礼で「おはようございます」を唱和していますが、これが外部でものすごく評判がいいのですよ。「ウチもやりたいのだけれど、なかなか実行できないんだよね、どうやっているの?」などと聞かれるのですが、こうやって褒められ、それを伝えると皆も気持ちがいいですよね。お客様も気分をよくしていただけると思いますが、我々も気持ちいい。そういう心掛け、ですよね。
こんな小さなことから「ゼロワンさんは、いい会社だよね」という評価が頂けるんだと思います。技術的に“唯一無二”というまでは特化しているわけではないですから他社との違いは何かと言ったら、「あそこと付き合うと気持ちがいいから、また、あそこと仕事がしたい」という、ここしかないと思うのです。一時期どん底が続いた時も、挨拶徹底は貫いていこうと一番思いました。
時間厳守…納期どおりに仕事を納めるというのは、当たり前。ここで言いたい時間厳守とは、例えば2時から社内会議だとしたら、2時には議題が始まっているようにする、ということです。2時に会議室に集まり始めたりすれば、話しが始まるまでに5分、10分とロスしていますよね。これもすごく小さなこと、でも、ここからお客様の納期を守るという基本姿勢が養われていくんです。
環境整備とは、身の周りや社内の整理整頓はもちろんですが、働きやすい環境を作っていくということを視野に入れています。例えば入口に熱帯魚の水槽を置いていますが、これもちょっとした癒しのアイテムの一つです。仕事にこんを詰めてばかりいないで、時には心をリラックスさせる、それが両立できるような環境を作っていきたい。熱帯魚は私の趣味なんですが(笑)。
そのほかに大切にしていることの一つは、私の仕事観といいますか、メリハリを付けるということもあります。仕事をやる時はとことんやる、遊ぶ時はとことん遊ぶ。仕事で疲弊するばっかりではダメだと思うのです、やはり、プライベートの時間も大切にしていかないと。
私はアウトドアが好きなので、例えばキャンプに行こうと思ったら、まず予約を入れてしまいます。そこに向けて、仕事のスケジュールを組む。つまり、仕事が一段落してから、さぁ何をやろう…これではなにも出来ない。
また、週末が空いていたりすると「休日出勤すればいいや」と、自分に甘えが出る。でも週末に予定を入れていると、水曜までには目途を付けておかないと危ない、という感覚がいやおうなく出来てきますよね。
徹夜残業・休日出勤は当り前という過酷な状況も経験しているからほんとうに実感しているんですが、遊びのパワーって、すごく大きいと思います。
そして結局人間はなんのために仕事をするのだ、という話ですよね。
仕事をしてお金を稼ぐ、それを何に使うのか。溜めるのが好きな人は貯金高が増えることが喜びかもしれないですが、家族とともに楽しんだり、仲間と遊んだり、私はそういうことにお金を使いたい。
製品を作っていくうえで、ちょっとした遊び心があるとないとでは、なにかが違ってくるとも思います。
例えばカメラなどでも、技術だけしか頭にない設計者より、実際にカメラを使って遊んでいる設計者のほうがどういう工夫をすればこのシーンを撮影する時もっときれいに撮れるとか、体験的な気付きになるでしょう。発想力というのは、そういうところから生まれるのではないでしょうか。
今、我が社は自分たちの製品を作ろうということを目指しているので、発想力、これ、重要課題ですね。世の中で何が必要とされているのか、どういうものが喜ばれるのか。それの前提として、自分が社会生活を送るなかで、今、何が必要か…こんなものがあったら嬉しいな、こうした機能があれば便利ではなかろうか、それが我々の仕事上にもなんらかの形で反映されていく、そういう意味でも、プライベートがとても大切だと思っています。
失敗を失敗と思わない、これも大事にしていますね。仕事をやっていくといろいろと上手くいかない経験をしますね、でもそれを失敗と捉えないで、いい経験を積んだ、という受け止め方をしています。
またリーマンショックの際の話しになりますが、あの時のさまざまな厳しい体験、それらは「失敗」ではなく、今となっては本当にいい経験だったと思える。あれを「失敗」と捉えていないから、あの辛い状況にならないためには、今、どうしていくかを見据えられる。
また、大事にしていた人が会社を辞めていかれたこともありますが、「失敗したなぁ」ではなくて、こういうことを二度と起こさないためには、どうすればいいのか、そういう思考回路に持っていくことを心に期しています。高圧的な言動だったのだろうか、なにか大切なものが欠けていたのだろうか、そういう内面を見つめることを自らに課して自分自身が成長していくこと、ですよね。原因を外に求めているうちはなにも変わらないでしょう。
言葉、これは言霊(ことだま)と言いますよね、発声した時点で、なにかが込められる…ですから「失敗した」とは言葉で出さないで「いい経験をした」と言う。これだけでもまるで違う世界観になる。こういう感性、大事にしているんですよ。マイナス的な表現をしない、ということです。極端な話し、「失敗」と書いて「経験」と読むということですね。
相手を怒らせちゃったとか、書類のミスをしてしまった…そういう起こしてしまった過去を叱責し続けるのではなくて、それを今後なくすためには、どうしていけばいいのかを考え続けるということ。それには冷静な分析が必要です。それが同じ失敗を二度としないことに繋がります。
「ま、いいか」、これもいいですよね。なにか失態を起こし「やっちゃったなぁ…」という時、「ま、いいか」と一拍置く、これで切り替える。そして、この局面を脱するにはどうするか…そういう発想に持って行く。これはある方に教えてもらったことなんですが、私自身、結構、そうやりましたよ。
現代は子育てでも、子どもに痛い思いをさせないという過保護な風潮ですよね、でも最近私は、社員にある程度任せ、最終的な責任は社長である私が背負うから、こけるところまでやらせようと思っています。こけないように、こけないようにという姿勢ではなにも成長しないですからね、こけて悔しい思いをしないとね。
私はその経験をいっぱいしていますが、そうした体験がない者にいくら私の話しを聞かせたって耳に届かない。もちろん、こけて立ち上がる時には、手を差し伸べます。
失敗しろ、と言っているのではないのですよ、まずは最初から最後まで自分の意志で仕事を回してやってみろ、未達を恐れるな、ということです。
その結果、成果があがればその人にとってすごい自信になる。また、結果が残せなかったら、では次からはどうやるのだ? というこちらからの問い掛けにもなる。
正直言うと、今、私自身はジレンマと闘っています、手を出したくなって。でも私も我慢です、絶対手を出してはいけない、アドバイスで止めておかなければいかん、と。
20代の頃、社会人生活になんかしっくりいかないものを常に感じていて、いろいろなセミナーに出ていましたが、当時はよく分からなかったことが多いのですが、徐々にそれらの学びが分かるようになりました。巡りめぐって、今、それらが生きています。
究極は、自分の心をいかに制御できるか、ということになるのだと思っています。
とにかく経験と言うものが貴重ですよね。最初に就職した会社、大変でしたけれど、その時に身に付けた技術力はその後すごい経験として生きています。そして、結果、会社の創業ということにも繋がるわけですし、大変だった時期を経たからそれが今の力になっている。
まさに人生に無駄なことは一つもありません。
請負業務にはこだわりがあります。
中小メーカー限定なんです。
ウチは大手さんが面倒なのでやらない、という分野を積極的にやろうと決めたんです、ある時期。例えば、一人で1週間で仕上げる仕事などはどんどん受けます。
ソフトの開発は自分たちではできない、でも大手への発注は高額で手が出ない、そういう悩みを抱えているところの手助け、サポートをしていこうということです。
その心は、中小メーカーさんを支える立ち位置にいたいと言いますか、自分たちがそこを下支えしていくという気構えを持つ、と言いますか。
その会社がウチの下支えで儲かり、それで我が社への発注も継続し、結果、我が社も儲かっていく、そういうよい循環で回るような関係の会社と仕事がやりたいと思っています。
顧客先はいろいろありますが、現在メインで手掛けている具体例の一つは、駐輪場の精算機のソフト開発です。どこに管理部門を置くか、それにはどのような機械を導入してどのようにシステムを組むか、さまざまなことを提案しながら築き上げています。
だいたい、メーカーさんは漠然としたイメージでおっしゃられることも多いのですが、それを実現するための具体的な方法、方策を提案するのが我々です。時にはウチよりもっとクラウドが得意な会社とコラボするというケースもあります。外注したほうがお客様のメリットになるなら、それもいとわないです。
また、初期段階はここまで設置しましょうと提案し、徐々にバージョンアップを図る場合もあります。メーカーさんって、すごくやりたいことを持っているんですよ、だから、未来の話、盛り上がりますよ、ただそれを具現化するノウハウがない。「そうなるためにはこうすればいいですよ…」という話をこちらもしますから、打合せが長い、長い(笑)。ですから、ほとんどの仕事は継続していきますね。
メーカーさんが希望していることのプラスアルファの状態まで作り込んで提供していく、つまり、付加価値を付けていく、これをモットーとしています。
なかには完成のかたちを緻密にイメージできているお客様もいますが、「今のトレンドはこっちですよ」とか、「将来性を考えるとこっちのほうがより良いですよ」ということを私たちが持っている場合は、それを提案していきます。使い勝手や、メンテナンス、拡張性などに対してですね。
技術者派遣をずっとやり続けているのは、請負の場合の提案力を付けるためでもあるんです。若いうちは派遣でどんどん外に出ろ、というのが我が社の方針でして、それはエンジニアの基礎を学んでこい、という戦略なのです。
私の経験則でもあるんですが、エンジニアのスタート時代、いろいろなメーカーで一流の技術を垣間見せてもらいました。社員ではなくて派遣のメリットは、各メーカーのそれぞれ優れた点を見ることができるという点なんです。そういう見聞からピックアップしたものを参考にして、自分に合うやり方を構築していくことができるようになりました。
ものを作っていくということは、一つの正解があるわけではありません。いろんな方法のアプローチがあるし、さまざまな処理方法があります。私だって、今でもいろいろな現場を回って、もっといろいろなことを学びたいくらいですよ。
我が社はずーっと戦略的に進めているのですよ。最初は派遣で知識を蓄え、次に請負に力を注いできた、これによってモノを作っていくということのプロセスを学んできました。そして今は三段階目のステップ、自分たちでモノを作ろうというところにいます。
やっとここまで来ました。これから「ゼロワン◎◎」という商品が世の中に出ていくわけですから、ワクワクしますよね。今、社内でアイディアコンテストをやったりして下準備をしているところです。
派遣→請負→製品作り、これが当初から思い描いていた事業プランでして、それらを3本の柱として、有機的に運営していくつもりです。
外に出て修業して、提案力を身に付け、最終的には自社製品を作っていく、キャリアプランでも同じ流れですよね。派遣として外に出ることもただ単純に「やらされている」のではなく、最終目的は、自社製品を作れるようになるため、ですからね。
我々の技術提供によってお客様に利潤を上げてもらう。そして、お客様の会社が上手くいき、幸せになっていただくこと。
具体的に言えば、技術だけでなく、お客様の“想い”を代行して実現させる、ということ。これは1回仕事を完遂して終わる関係ではなく、お客様の会社の下支えとして、自分たちにリピートして依頼をいただくことに繋がります。ですからつねに誠心誠意、お客様の要望に応え、「次もゼロワンさん、頼むね」という、こういう継続を大事にしています。
我々は結局サービス業ですよね、業界区分も「情報サービス産業」というくらいですから。だから、どれだけ相手に対して技術にプラスアルファのサービスができるかがポイントで、その部分が貢献度を高めていくことになると思うのですよ。
我々はサービス業、だからこそ「挨拶徹底」なわけですよね。レストランでもホテルでもそうですが、人に尽くすという気持ち、ここが大切なこと。立ち居振る舞いもそうですよね。こうしたことも技術プラスアルファの、アルファの部分だと思っています。
究極的には人間性の問題が実に大きいですよね。対応が冷たいとか、連絡を全然して来ないとか、親身さを感じないとか…そういう人に次は頼みたくないでしょう。
ウチは技術では負けないという自負を持っていますから、最高の技術と最高の人、これを提供していく! この二つが組み合わさったら、最高のサービスですよね!!
会社は組織ですから、「人」がいなければ何も始まらないわけです。私一人がどんなに頑張っても運営することはできない、一人が行えることの限界がありますからね。でも、「人」が集まればいろいろなことができる。
だから「人」を一番大切にしています。
まずそれのベースになるのは、社員個々人が、皆で会社を作っているのだ、という意識を共有すること。だから社員が「こういう制度が欲しい」という声を大切にしたい。
例えば、「皆で旅行したいね」という希望に応えて社員旅行を実施するようになりましたし、フレックスタイムを導入したのも社員からの要望でした。
毎月全社員が集まって話し合いをするということを今日まで続けていますが、その中でディスカッションして、いろいろなことを決めてきました。創業の頃の規則でも現状に合わせて、いい方向にいい方向にと、変えてきています。
裁判員制度が始まった時には、当ったらどうする、その時の休暇扱いはどうするなどもテーマに挙がりましたよ。
意見はどんどん欲しいですね。それが自由に出せる会社であり続けること、そういう環境作りへの配慮は欠かさないようにしています。
創業当時は派遣業務に徹していましたから、全員会社にはいないわけです。だから土曜日に休日出勤してこの会議を開いていました、まぁその後飲みに行くという流れなんですけど。で、飲みに行った先での話の方が熱くなったりして(笑)。自分のダメな部分もさらけ出したりしますが、それで終わってしまっては、ただの飲んだくれのおっさん達ですけど(笑)、でも、まず、それぞれがなにをやりたいか、それを知ることが大事ですからね。本音を言い合うと時には厳しいバトルが展開されますが、それを回避してはいけないと思いますよ。本気で言ってくることですから、逆にそれは非常に嬉しいことです。
各々が立場上、本音を言えない状況も多々ありますから、だからこそ、それを聞ける機会を持つこと、それが今でも大きな課題です。もっと模索し続けますよ。 これは答えのないことでしてね、しかし、探求し続けるのを止めたら、そこで終わり、ですもんね。
私は、会社のスタイルを完成させない、と決めているんです。常に変化を求めていく。
女性登用が世の流れですが、ではそれに対して「ゼロワン」としてはどう対処していくのか、こうした案件もその一つです。
また、成果主義に切り替わりつつありますが、一方で固定の在り方も見直されています。それを、「ゼロワン」では、どう考えていくか。
こうした世の中の変化に関しても柔軟に動けるようにしておきたい。
だから、会社の完成形は永遠にできないと思います。いや、完成してはいけない、とすら言いたいですね。
我が社は現在、私の年代が圧倒的に多いのですが、若い社員からの意見や提言、それがとっても欲しいのです。彼らには彼らの価値観や考え方があるはずなんです。そして、間違いなく、彼らが将来を担って行くわけじゃないですか。そう見通すと、彼らに従来の考えだけを押しつけてもしようがないわけで、彼らの感性を反映していくことが当然あってしかるべきでしょう。
私達も若い頃は上のほうから「なんだ、最近の若いやつらは…」と言われましたよね、ある意味、それはいつの時代でも抱えている「世代間」の問題です。そんな彼らも、やがて「なんだ、最近の若いやつらは…」と言うようになるでしょう、歴史は繰り返しますよね。
だから、若い社員は我々を論破しなくてはなりません。
これはこれですごく勉強になることです。
我々のほうは、ただ一方的に命令するのではなく、彼らの存在を理解した上で従来のやり方を納得してもらう努力をする。その結果、彼らの提案が従来のやり方よりより良い方向だと思えれば、ためらわずそれを導入する、上にいる者はそういう度量の広さを持つことが必要ですよね。
我々が築いてきたスタイルに彼らの考えを融合させ、お互いに共存するためのいいスタイルを考えていくということではないかと思います。それが相乗効果となっていき、会社が成長できればいいなと思っています。
経営理念 -ゼロワンの決意- として
「人々が安心・安全に暮らせる社会へ、“ものづくり”で貢献する」
「ゼロワンに関わったすべての人々の幸せを実現する」
ということを宣言しています。
幸せになって欲しい…お客様もそうだし、社員もそうだし、これしかないですね
モノ作り、製品と言うことだけでなく、システムもインフラもその範疇ですが、それによって人々は生活に安心感や安定感を持てる、それは幸せを達成する重要なファクターですよね。
一時期、私、自信がぐらついた時期がありました。「システムというか、モノって、そんなものはなくても究極的には人は生きていけるじゃないか」という思いに囚われたんです。
例えば、食べ物がなくなれば人間生きてはいけませんよね。でもモノがなくても死にません。自分が携わっているモノ作りって、人間の根源にとって何なんだ? なんのためにこの仕事をしているのか、そういう想いとでも言うかなぁ…。
そんな時に外部の学びの場で強く気づいたことがありました。
それは、
「自分がやっていることの結果として、人々が安心して安全に暮らせる社会というものに貢献しているでしょ。むしろ無きゃダメなんだ!」
ということでした。
我々が関わるいろいろなシステムで防犯したり、事故を未然に防ぐ…確かに、これらは人類の生命線を支えはしませんよ、でも、よりよく生きていくためのものとして「ある」。そういう気付きです。
犯罪などの現場では防犯カメラ一つ付いているかいないかで、ものすごく違ってきますよね。巻き込まれた人が救われたり、逆にさらなる犯罪を防いだり。セキュリティシステムはすべて犯罪の抑止力です。これは安心して暮らす社会に直結していますよね。ここに貢献していく、これが我々組み込み会社の存在意義だということを、改めて強く意識しました。
ここに至るまではすごく葛藤しましたが、得たものは大きかったですね。
私から見ていて、ゼロワンの皆、非常に仲がいいですよね~。あとはね、皆、息抜きが上手いことですね。
非常にグーっと集中して、こんを詰める仕事です、我々の分野は。でもウチの社員たちは、そうした中でも、たわいない雑談が飛び出すと、皆、一瞬、それに乗っかる、私もそうですけれど。
張り詰めてばかりではいられないのです。四六時中、ピーっと仕事にばかり向かっているんではなくて、ふとした瞬間に、その緊張をほどく…それが非常に自然体で成されています。
これは、私が意図的に作り出しているものではなく、会社の方針として意識的に掲げていることでもありません。そんな雰囲気が自然と醸されているのは、すごく素敵ですよね。で、そうした中で、雑談に偏ることはなく、仕事は皆ちゃんとやり遂げていますからね。
最近の傾向ですが、それぞれ自分の役割ということを真摯に受け止めてくれて、積極的にそれに沿って動いてくれます。これも今私はすごく嬉しく、評価しています。 一時は私が言うことを皆に「やらせている」という状態でしたが、それが自ら動くようになっている、能動的になってきた、ということです。
メーカーになることが大きな目標です。
また、メーカーになると同時に販売も自ら手掛けたい。販売をしないメーカーは、マーケティングができないでしょう。マーケティングをすることによってお客様の声がダイレクトに入ってくるのですよね。
自分たちでモノを作り、自分たちで販売していく、それを通してお客様にマーケティングしながら、世の中、何が必要なのか、何で貢献できるのかを考えながら進む会社にしたいですね。
そうなるために、会社の規模を大きくしていこうと思っています。
かといって、今、急速に拡大させるつもりはありませんし、どのくらいの規模になればどういうことが実現できていくのか、その辺を現在勉強中です。
最終的には上場したい、と思っています。
モノを作るということは大変お金が掛かるんです。資金調達のことを考えると、自社だけで担って行くのは、ちょっと、厳しい。ですから、株を公開して資金を集める方向を考えて行くつもりです。
上場するためには、組織とか、事業を展開していく仕組みとか、ちゃんとした組織になっていないと審査に通りません。社長と社員の関係性も見られますしね。
そういう会社創りを目指す気持ちのベースにあるのは、自分たちが携わるいろいろなことが皆さんの役に立っているということを実感したいからですよね。
また、安心・安全な社会を作るということは、食などの生命維持とは違う意味で「命」を守るということでもあります。
例えば駐輪場の設置、これは放置自転車をなんとかすることが大目標なんです。放置自転車のせいで救急車の通行が妨害され、死亡に至らせてしまった…こうなると、直接人の命に関わっています。
社会基盤の整備に寄与することによって、人命も救える、そこにプライドを持ちながら会社をやっていきたい。私たちに直接は「ありがとう」は言われないかもしれませんが、社会がそれをすごく感謝してたり喜んでいれば、それは私たちにも受け取れますからね。 それにプライドを持てる会社でないと長続きしないと思うのですよ、結局は。
こういう会社であれば家族に誇れますよね。
誇りを持つ、そういう意味では知名度も大事かな、と思い始めています。
地域貢献もやっていきたいです。
また、なかなかこの業界では難しいのですが、障害者の方々の支援や雇用、これも模索したいと思っています。
スポーツのサポート、スポーツは人々に感動を呼び起こしますね。感動によって救われる人もいるし、希望を持つ人もいる。そういう感動になんらかのかたちでカラんでいけたらいいな、とも思いますね。
それらはすべて誇りを持てる会社になることの一部ですよね。
最近意識しているのは、社員の家族を会社のファンにすること。
つまり、巻き込んでいくということです。例えば年末の納会、ここに家族を皆呼ぶ。バーベキュー大会。また、社員とその家族の誕生日には会社からプレゼントを贈る。
日々頑張ってくれる社員のみんなへ、感謝の気持ちを伝える機会を社員の家族にまで広げていきたいんです。
家族のバックアップ、これがいかに社員へ大きな力を与えるか、社員の家族の想いも大切にしたいのです。
報酬面で他社に負けない充実したものにしたい。
精神的なことだけでなく、報酬と言うのはある種その人の評価でもありますから、正当なものを出せるようにより充実したものにしていきたいです。そのためには会社をしっかり創り上げて、それらに応えていくということですかね。
私は格差も必要なことだと考えています。
あるランクまで到達したらここまで貰える、さらに上に行けばこれだけ増える、だから、上へ上へと、高いランクを目指していけ、ということです。当然、ランクにより報酬の格差というか、差は生じてきますよね。
現在、社会的に問題視されていることは、富める人はどんどん豊かになっていき、貧しい人はどんどん貧しくなるばかりということですよね。私がここで言う格差とはそうじゃなくて、できる人は高い報酬を得られて富める、だれでも頑張ればそこまでいけるんだぞ、だから、チャレンジしてみろ、ということなんです。
ゼロワンの皆は、幸せを追い求める人であって欲しい。
与えられたもので幸せを感じることは難しいと思うのですよね。自ら求める姿勢があってこそ、その先の幸せ感を得ることができる。
まず、求めてくれないと、なにも始まりません。
自ら求めてくれれば、会社はそれに応える準備をします。求めていることに応えるシステムを作るのが、私の責務ですしね。
大学を卒業したからなんとなく働くのではなく、社会に出てどういう人間になりたいと思っているのか、そのために何を追い求めるのか、それを考えているような人財が欲しいですね。
中途採用であれば、何かしらの理由で前職を辞めたわけで、“想い”を持っていると思うんですね。その“想い”はなんなの? その“想い”はここで追い求めていけることなのか?
その“想い”を一緒に追い求めようか、ということですよね。
大きなことや立派なことでなくていいのですよ、ちょっとしたこと、単純なこと、それでいいのです。例えば少しでもお金が多く欲しい、それでもいいです。周りと同じならなんでもいいや、ということと、1万円でも給料が高いのがいい、ということとは雲泥の差があります。小さいことでいいから、求めよ! ということですよね。
求めることがまだ混沌としていても、実はなんかしら本当はあるはずなんですよ、そんな場合、私と話すことによって少しでも見えるものがあれば、それはそれでいいのかな、と思います。なんかしら、応えてあげることができる、とも思いますよ。
なにか気付く時って、ほんのちょっとしたきっかけのことが多いですよね。相手が何気なくいった言葉が自分の中ですごく響いたとか、ぐさっと入ったとか、人と会うのがすごく面白いのは、そこですよね。ふとした瞬間に自分に必要な一言が貰えたりする。あるいは、その言葉が気になって気になって、それを探求するようになるとか、ね。
そうやって人は深まっていくのではないでしょうか。